小学校の統合から見えてくるもの

丹波市の市島地域にある5つの小学校のうち、前山小学校・鴨庄小学校が2022年度をもって閉校となることが決まりました。前山小学校は竹田小学校に、鴨庄小学校は吉見小学校にそれぞれ統合されます。

主な理由は生徒数の減少によるものですが、何もこれは一地域に限った話ではありません。市内の各地域ではほとんどの地域で人口の減少が続いており、今後もこの流れは続いていく見込みです。特に若年層ではその流れが顕著で、これが小学校の生徒数減少という形で表れており、地域全体で向き合っていかなければならない問題となっています。

また、統合自体は決まったものの、統合に向けた今後のより具体的な調整や、統合後の生徒のサポート等、課題も多くあります。更に小学校の統合が当事者である生徒たちだけではなく、その地域の住民生活へ与える影響についても分かってきました。
今回は丹波市内における小学校の統合を特集し、その課題と今後、そして地域住民としての関わり方について考えていきます。

前山小学校
前山小学校


鴨庄小学校
鴨庄小学校

小学校と地域との関わり


来年の小学校統合により閉校となる市島地域の前山小学校・鴨庄小学校。統合の理由は生徒数の減少によるもので、特に鴨庄小学校では数年後に複式学級(複数の学年をひとまとめにした学級)とせざるを得ない学年が発生することから、生徒の学習環境のことを考えれば統合はやむなしとの声が聞かれました。
一方で課題もあります。校区の統合により、最寄りの小学校までの距離は遠いところでは7km以上にもなり、これまで徒歩通学であった生徒の大多数はスクールバスでの通学になります。それに伴うハード・運用面での整備はもちろんですが、それ以上に「子供たちにとって地域との心の距離が離れてしまうのではないか」という心配の声もあがっています。
このため閉校となる各小学校では、自治会や地域住民の協力のもと、これまで以上に地域学習に力を入れて取り組んでいます。地域の自然や文化と触れ合う機会を設け、地域への興味や愛着を持ってもらうきっかけとすることが狙いです。

前山地区の上鴨坂
前山地区の上鴨坂
統合後の竹田小学校までの距離は7kmを超える


他人事ではない、統合の影響とこれから


既に青垣地域では2017年に4つの小学校が統合し、青垣小学校が誕生しています。

青垣小学校の誕生は丹波市が発足してから初めての小学校統合で、市内における先行事例となっています。先述の地域学習の取り組みも、青垣地域での取り組みを参考に行われているものです。しかし統合から5年を経て、当初は想定していなかった新たな課題も浮き彫りになってきました。

昨年、市の教育委員会が行った統合後のヒアリング調査において、保護者や学校関係者からは概ね前向きな回答が得られた一方、地域住民からは「地域としてはコミュニティの場が1つ少なくなった。」「地域行事への参加者が少なくなった。」といった、地域の関係の希薄化を指摘する声が聞かれました。

確かにこれまで、校区をひとつの枠組みとしてコミュニティが形成されてきた部分もありました。しかし現在の人口減少が続く限り、この先も校区の統合は避けては通れないものです。既存のコミュニティの活性化だけでなく、現状に即した新たな枠組みでのコミュニティの形成が必要となってきているのかもしれません。

私も一住民として、そして地域活動に携わる者として、今後とも地域の皆様と一緒に地域への関わり方について考えていきたいと思います。


生徒数の推移(グラフ)
丹波市内各地域の小学校生徒数の推移

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